「3年生が同僚たちに見えてくるとき」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年11月04日18:25
 後輩に役職をバトンタッチした3年生の旧役員との対話・最終回です。
 最後を飾るのは、代議員長(議長)をつとめてくれた原さんです。生徒総会の議論をまとめるだけでなく、執行部の核の一人として、様々な行事の運営を行ってくれました。

――議長として大変だったことは何ですか。
原さん「みんなをまとめるときに、自分ではわかっているつもりでも、そのことをみんなに伝えることは簡単なことではないと、わかりました。工夫をしないといけないんですね。ひとつには、プリントにしてわかりやすく伝えようとしました。もうひとつは、話し合って、考えを共有していく場を作ろうとしました。」
――蘇峡祭で、思い出に残っていることは何ですか。
原さん「コロナ予防と熱中症予防というふたつの大きな課題がありました。いっぽうで、みんなが楽しめる文化祭にしたい。この両立がどうすればできるのか、とても難しい問題でした。でも、だからこそ執行部では対話を繰り返して、運営の方法を考え出していきました。それは大変だったけれど、楽しいことでもありました。」

――生徒会の経験は、将来、どんなところに役立つと思いますか。
原さん「進学した先でも、積極的に行事の運営にかかわっていきたいし、さらにその先で仕事に就いても、自分の意見をどんどん言える社員になりたいと思っています。」

 原さんとの対話のなかで、人に伝えることの工夫とか、対話をして共有していくことの大切さが話題になって、これは校長と教職員の関係にもあてはまるし、社会の中で生きていくときに普遍的にあてはまることだろうと思いました。
 3年生たちは無我夢中で生徒会活動をするなかで、大人として大切なことを自ら学んで、社会で生きていく力を身につけているんですね。

 役職を終える3年生たちと対話をしながら、私は「同僚たち」と話をしているような楽しさを感じています。


  


「プールの前の伐採した柿の木が美しい工芸品に変身する」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年11月02日20:50
 蘇南高校のプールは、敷地の最も奥(つまり丘の上)にあります。その前に大きな柿の木があり、たくさんの渋柿を実らせていました。柿は熟せばおいしくなりますから、野生のクマが近づいてくる可能性があります。
 一昨年度のことですが、生徒の安全を第一に考え、柿の木を伐採しました。木は細かく刻んで希望者に薪として配布しましたが、精霊の宿りそうな樹木を倒したことには、当然ながら心の痛みがともないました。

 本校では、美術の時間に、南木曽の伝統工芸である「ろくろ工芸」を学習しています。ろくろを回転させて木を彫り出し、お皿やお椀を作るのです。とても難しい技なのですが、伝統工芸士で「ヤマイチ工芸」というお店(妻籠から飯田に向かう清内路峠の「木地師の里」にあります)を経営されている小椋一男さんが指導にあたってくださり、生徒たちは今も楽しく学んでいます。
 その小椋さんが、「学校の記念になるような作品を柿の木から創ってみましょう」と幹の一部を持ち帰ってくれました。

 そしてこのほど、小椋さんが「花器ができました」と蘇南高校に作品を寄贈してくださったのです。薄い美しい流線型のフォルムをもった「UFO花器」に、蘇南高校の柿の木が変身したのです。
 なんと!・・・と声をあげて、時間の経つのを忘れて、私は花器にみとれました。柿の模様が表面にうかびあがり、つややかで端麗な姿が、まさに「もうひとつのいのちの形」であることを感じさせてくれます。


 蘇南高校の玄関ロビーに飾る芸術品が、またひとつ増えました。
 私は蘇南高校を美術館のような学校にしたいのです。是非、皆様も本校にお越しの際はご覧ください。

 小椋一男さん、心から御礼を申し上げます。