「朝日が輝く場所を見つける」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年01月19日21:36
 マイナス10度になるという天気予報どおり、とても寒い朝でした。
 通学路が凍結していないかを点検するため、朝の7時に出勤しました。坂を上がって校舎が目の前に見えてきたとき、いつもより私の視線は上に向いたのだと思います。思わぬ発見がありました。
 
 木曽川の西にそびえて蘇南高校を麓に抱く伊勢山のいただきが、まぶしく輝いているわけではありませんか。

 あわてて木曽川の東にある町役場の駐車場に行って、伊勢山を遠望してみました。そして理由がわかりました。深い渓谷の南木曽では、真冬に東側にそびえる南木曽岳の山頂から朝日が昇るのは、ようやく8時半頃になります。
 しかしその山頂からもれる朝日が、7時には、南木曽岳をシルエットにしながら谷の反対側の伊勢山に射し込み、その真っ白ないただきを照らし出しているのでした。
 南木曽で朝日が一番に輝く場所は、西側の伊勢山だったのです。

 なあんだと言われそうですが、南木曽の美しさをまた一つ発見して、それだけで、今日一日はとても幸せな気持ちでした。
 とても忙しいからこそ、ここに生きる幸せをかみしめています。
  


「本当にありがとうございます」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年01月18日21:08
 大学入学共通テストの河合塾の速報データが届きました。
 「数学ができなかった」と落胆していた生徒たちですが、全国平均がとても低い予想なので、「皆さんは頑張ったのですよ」と声をかけてあげたいと思っています。
 落胆する間もなく、二次試験に向けた勉強を始めることが大切です。そして金曜日の志望校面談の前に、なるべく多面的な情報を集めてみることです。
 そして明日から3年生は学年末試験なのです。先生たちも大忙しです。

 全国、そして長野県のコロナ第6波の状況が、とても厳しくなってきました。
 ここのところ一日の日課を終えるとき、「今日一日を無事に過ごさせていただき、本当にありがとうございます」と心から感謝をしている自分がいます。

 大学入試はもちろん、高校入試も、もうすぐです。生徒たちも先生方もご家族もみんなで感染防止に気を付けていますが、それでも万が一のことがあったらどうするのか。高校入試についても様々なケースを想定して実施要項を策定していかねばなりません。
 受験する人にとっては、自分の未来がかかっている入試です。
 これを何とか無事に乗り越えていきたい。「どうか、明日も…」と心の中で手を合わせています。

  


「大学入学共通テストの世界史Bの問題を批評する」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年01月17日15:31
 大学入学共通テストを本校の生徒たちは無事に受験することができました。これから2次試験に向けてさらに前進できるよう、応援していきたいと思います。

 私の専門の「世界史B」を解いてみました。(自己採点100点。当たり前か。)問題のあり方について、批評をしてみたいと思います。

(1)単なる暗記の再現の問題が増え、歴史的思考を問う問題が少なくなったのは、残念なことでした。入試改革について、世界史はやや足踏み状態であるように思いました。
(2)そのようななかでも、第4問の問3「日本の戦時体制をファシズムと言うか、言わないか」について論拠を示して考えさせる問題は、新時代の予感を感じさせるものです。同じく問6のエイゼンシュタインの映画が上映禁止になった理由を、当時のソ連の歴史から推測させる問題も、歴史解釈を問う良問です。
(3)第4問の質が良かったですが、息子を殺害したイヴァン4世の絵画を試験に掲載するのはいかがなものかと思いました。高校生には様々な事情を抱えた子がいるのです。
(4)反対に史料を十分にいかしきれていない問題が多く、残念でした。第2問の問4が、長々と史料を読ませながら、文中の「マクミラン」の国を知っているかどうかで正解が決まる(あるいは史料と関係なくフランスの核開発の時期を暗記しているかどうかで決まる)というところなど、史料問題の活かし方の方向性が違うのではないかと思います。第3問のBの世界の各地域の人口の推移の表はとても面白いのですが、問いになると、普通の暗記か、表の単純な読み取りで正解が決まってきます。
(5)あまり些末な暗記を問う問題がほとんどなかったことには、拍手です。

 もちろん作問をされた方々には多大なご労苦があったろうと拝察しますし、正確に正誤を問うのを第一にしたことと思います。そのことに深い敬意を表しつつ、歴史的思考力を問う問題とは何かということを、私たちは一層研究していく必要があると思ったのでした。
  


「白川氷柱群を見に行く」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年01月16日18:27
 コロナの感染状況がおさまるまで飯田の自宅に帰ることを断念して、木曽谷で土日を過ごしました。
 これまで冬になるとよく見に行っていた白川氷柱群を訪れてみました。木曽町三岳の白川地区の西野川にのぞむ断崖にしみだした水が、幅200メートル以上にわたって壮大な氷柱の壁になるのです。

 河原に行ってみると、厳しい寒さの今冬ゆえ、とりわけ素晴らしい氷柱群に出会うことができました。思わず歓声をあげたほどです。何という自然の造形美!
  


「きっとうまくいく!」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年01月14日18:06
 明日から始まる大学入学共通テストを前に、激励会を開催しました。
 会議室の後ろのボードには、共通テストのカウントダウンが始まってから学習室の前に貼りだした、日がわりの教職員からの「激励メッセージ」が並べて飾られています。これは先生たちが励ました量であるとともに、生徒たちが一生懸命学んだ努力の量でもあります。

 私から次のようなメッセージを語りかけました。

――これまで一生懸命学んできて、いよいよその力を発揮する本番になりました。長年、教員をしてきて思うのは、一生懸命学んだことのうえに大学に入って「学び続ける」ことが大切であり、そうであれば、実はその大学が第一志望であれ、第四志望であれ、充実した大学生活が待っているのだと思います。皆さんは、きっと素敵な大学生活をおくれるでしょう。肩の力を抜いて、本番に臨んでいいですよ。
 共通テストの会場に行って、自分の人生を創ろうとして必死に頑張っているみんなの姿を見て、自分もこの中のひとりなんだと、かみしめてください。
 皆さんならば、きっとうまくいく!


  


「身のまわりの感動の塊」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年01月13日17:45
 大雪に見舞われた一日でしたが、嬉しいことがいくつもありました。生徒や先生たちが大勢出動して雪かきをしてくれました。
 そして昼休み、3年「電子機械」の授業(担当は太田先生)を学んでいる小畑さん・大島さん・澤渡さんが開発した「ハンド・ディスペンサー」について、校長室でプレゼンテーションを聞くことができました。

 「ハンド・ディスペンサー」とは、手をかざすだけで自動的にアルコールが噴霧される装置です。これを安価に、使いやすく、自分たちでプログラミングと3Dプリンターで部品を加工して制作してくれたのでした。私も手をかざしてみましたが、適量が出てきて実に使いやすいものです。
 生徒たちは、パワポを使いながら、工夫した点・苦労した点などを発表し、最後に次のようなまとめの言葉を語りました。

――この製作をとおして、「仲間」で足りないところを補い合い、一つの製品を作り出しました。この「小さな社会」を経験したことで、身のまわりの製品が「感動の塊」で出来ていることがわかり、その感動を共有することができました。

 素敵な気づきですよね。学ぶことで世界が違って見えてくる…それこそ学ぶ意義なのだと思いました。
  


「ほんたうのほんたうの幸福」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年01月12日15:42
 今、校長室の入り口に飾っている美術は、司修の「エレナ」という作品です。
 大江健三郎の小説には、大抵、司修の美しい装画がほどこされていて、私にとって憧れの画家でした。あるときに「エレナ」(同名の著書が司修にはあります)をギャラリーで見つけて、しかもナンバーが「1/50」だったので購入したのです。
 小さい作品ですが、宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』を想起させる幻想的な風景が描かれています。
 
 『銀河鉄道の夜』には、「ほんたうのさいわひ」(本当の幸い)という有名なことばが出てきます。ちなみに、この言葉は宮澤賢治が何度も書き直し、第1稿から第3稿までは「ほんたうのほんたうの幸福」と力を込めた表現になっています。
 それが最終形では「ほんたうのさいわひ」と肩の力が抜けたことばになり、それがかえって宇宙に響くようなイメージを喚起することになったのでした。

 司修の「エレナ」も宇宙を感じさせる作品です。
 本とか絵画が、天体望遠鏡のようになることがあるのです。
  


「3年生の受験を前にして健康に十分気を付ける」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年01月11日17:05
 先週末から今週にかけての新型コロナウイルス感染症の拡大は、長野県でも猛烈な勢いになってきました。

 本校は今日も平穏に一日を終えましたが、今週末の大学入学共通テストを控え、感染予防対策をあらためて強化していこうと、朝会で確認をしました。朝の健康チェックをしてから登校することやマスク着用は、もう習慣化されています。この間の小康状態のときに緩んだのは、当然ながら、昼食の際の同方向・黙食・前後の机の消毒という習慣です。これを再度、徹底させることにしました。楽しい食事でなくて可哀想なのですが、仕方ありません。

 部活動の練習試合については、①長野県の独自警戒レベル4・5の区域とはしない。②他県については直近10万人あたりの新規感染者が10人を超えるところとは行き来をしない。この二つの方針を引き続き守っていきます。生徒に許可しているアルバイトについては、今後の情勢によっては自粛措置をとります。
 教職員については、不要不急の出張(一番は研修の類)を控えることや、私生活においても十二分に責任ある行動をとることを、みんなで確認しました。
 これから3年生は大学進学の山頂アタックの大切な日々です。一月後には高校入試が始まります。校内クラスターを発生させるわけにはいきません。

 慣れからくる油断に封印をして、警戒をしながら、大切な日常を守っていきたいと考えています。
  


「蘇南アカデミーの共通テスト直前講座の教壇に立つ」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年01月08日20:07
 蘇南高校では、新年の1月4日から大学入学共通テスト補習を開始しました。初日は、校長からケーキを差し入れました。
 今日は、蘇南アカデミー(休日補習)の最終回、共通テスト直前講座です。私は、午後の3コマ連続で「政治・経済」の講師を担当しました。以前の「センター試験」と新しい「共通テスト」のどこが違うのかを改めて確認し、試行調査の問題などを解きながら、最後のアドバイスをしました。

 点が取れる考え方を徹底して教えたのですが、それでも演習の折々に、学ぶことの面白さを対話しました。――「ホッブズ→ロック→ルソー」の3大政治思想のうち、ホッブズの『リヴァイアサン』を現代のコロナの状況にあてはめるとどうなのだろうか――とか、ふとした雑談に、大学に行ったらもっと探究してほしいという思いをこめました。

 本校の生徒たちならば、きっと素敵な大学生になれるはず。今まで積み重ねてきた努力を信じて、本番で力を発揮してほしいと、祈っています。
  


「生徒からの寒中見舞いをうけとる」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年01月07日19:48
 3年生のひとりの生徒が、校長室にやってきて、「寒中見舞いです」と、はがきを私に手渡してくれました。

 とても凝った美しい絵とレタリング文字のメッセージが書いてありました。どれくらい長い時間をかけて、このはがきを書いてくれたんだろう。

 また、ひとつ大切な宝物ができました。机の上に飾って、眺めては楽しんでいます。

 ことのほか寒い冬ですが、心は温かです。
 さて、どんな返事を書こうか、時間をかけて取り組みたいと思います。