「自分たちで栽培した蕎麦を達人に教わって調理する」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年01月29日19:49
 2年の経営ビジネス系列に「課題研究」という授業があって、蕎麦を畑で栽培するところから始まって、製粉・蕎麦打ちを行い、南木曽町のイベントで調理販売するという一連のプロセスを実習しています。
 ところが今年はイベントが中止になったので、せめて校内で臨時そば店を開設できないかと計画していたのですが、再度の緊急事態宣言のために、それも泣く泣く断念しました。

 実は、事態がこれほど緊迫する前に、生徒たちは、桃介亭のご主人飯嶋さんから蕎麦打ちの講習を受けていました。当然ながら蕎麦打ちの難しさは想像以上で生徒たちは大苦戦。達人から教わるコツを会得しようと必死に頑張りました。そして蕎麦を一生懸命こねて、伸ばして、細く切り、香りのよい「かけそば」を作ってくれました。「かけそば」は、本校の職員にふるまわれ、私もランチとしてとても美味しくいただいたのです。
 初めての蕎麦でこれだけできれば合格点です。

 ところがその後、調理実習などとてもできない状況になり、生徒の目の前には膨大な「そば粉」の袋がそのままになっています。
 さて、ここであきらめず、どう次の手を打つべきか。生徒たちは必死にブリコラージュ(自分の経験と知識で目の前の壁をのりこえること)を試みています。またその工夫を報告しますね。

  


「消しゴムはんこアートの美しさ」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年01月28日19:16
 本校の玄関ギャラリーは、この時期になると生徒の学習成果物が展示されて、なかなかの壮観です。

 階段のすぐ横の小さなスペースに、美術の時間に生徒たちが取り組んだ、消しゴムはんこを組み合わせたカレンダーが展示されています。小さなカレンダーなのですが、これが実に美しい。私はたびたびこの作品群の前に立ち止まっては、見入っています。
 カレンダーの前には作者の「思い」が書かれたカードも一緒に展示されています。
 
 ちなみに、大切なものにはんこを押すといういとなみは、古くは古代メソポタミア文明の円筒印章から存在していました。容器を粘土で封印して運搬するときに途中で中身をすりかえられないように粘土の上に模様入りの円筒を転がしたわけです。インダス文明にも印章がありました。
 世の中は、はんこの廃止がブームのようになっていますが、押印することでその人の存在を表現するという文化は、蘇南高校で、このような遊び心いっぱいの可憐な芸術をうみだしたのでした。

  


「3年生が自宅研修期間に入る」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年01月27日21:36
 今日から3年生が自宅研修期間に入りました。進学組はこれから個別入試本番です。昨日、合格の知らせが届いた生徒もいて、ひとりひとり進路が決まるたびに、校長室で先生方と「よかったねえ」と喜び合っています。
 就職組を中心に自動車運転免許講習も始まります。器用にどんどん先に進む生徒もいれば、思わぬ苦労に悩む生徒もいるのだろうと想像しています。私は後者のタイプでしたから、このまま免許が取れないのではないかと本気で心配しました。

 これからは1週間に1回だけ3年生の登校日が設定され、社会に出ていくための最後のレッスンを重ねていきます。選挙のこと、税金のこと、労働法のことなど、あらためて確認をしておきたいことが山ほどあります。そして3年間楽しんだ学び舎を生徒の手で大改修する「蘇南版ビフォーアフター」の計画もあります。

 間もなく訪れる卒業式の別れの前に、3年生との日々を大切にしていきたいと、切に思う今日この頃です。
  


「続・合格通知書に入れる書類を減らせないか」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年01月26日17:13
 昨日、3月の合格通知に同封する書類が40種類を超えることをいかに減らすかが課題だというつぶやきをしたところ、facebookで予想を超える大きな反響をいただきました。これはもう後に退けないと、朝から書類と格闘しました。

 はっきり見えてきたことがあります。やっぱり、ホスピタリティの問題なのだろうということです。生徒・保護者の立場にたって考えるということです。
 たとえば、「年度当初は副教材をたくさん購入するのでまず学年費〇円を納入してください」(1学年会から)という通知もあれば、「学校徴収金のために口座振替の登録をしてください」(事務室から)という通知もあります。さらには「入学金を納めてください」(事務室から)という通知もあります。
 これらが1枚の通知になって、「高校と言うところは、~種類の集金があって、年間で~くらいお金が必要になります。このうちAとBについてまず納めてください。また今後のために口座振替の手続きをしましょう」とすれば、保護者は「全体」のなかの「今回の支払い」を理解できるでしょう。

 部分が集まって全体になるのではなく、全体のなかに部分を位置付けていくのです。そのためには係をこえた協働をしなければなりません。
 なあんだ、自分たちが蘇南高校の学習プログラムを構築しているときに、心がけていることと同じではないかと気づいたのでした。

  


「合格通知書に入れる書類を減らせないか」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年01月25日17:50
 どこの高校も3月に苦労するのは、入学予定者オリエンテーションと入学式に集める書類の多さです。ということは、それよりもはるかに沢山の書類が保護者のところに配布されているわけです。本校で合格通知書に同封されている通知の数を聞いたら、42種類だというので絶句!
 気持ちはわからぬわけではなくて、4月冒頭に集めたい書類を一遍に配布して、一遍に回収しようとしているのです。でも合格通知書を見た喜びが、瞬時に吹き飛びかねません。

 係の先生方を集めて、次のことを提案しました。
 ①スモールステップで配布・回収をやっていこう。➁担当が個々別々に書類を配布するのではなくて、種類が似ているものは1枚にまとめていこう。③3月中旬の話だけど、今のうちにやっておこう。

 さて、42種類がどれだけ削減できるか。いつか報告できるよう、頑張ります。
  


「コロナ時代の演劇をつくる」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年01月24日20:05
 実は、私は、教諭時代に長く演劇部を指導してきたので、現在、長野県高等学校演劇連盟の会長をつとめています。部活動の会長はあて職が多い中で、珍しい専門の会長なのかもしれません。

 昨年の3月に会長を依頼され、すぐにコロナ時代にも演劇部の活動を続けられるよう、全県の演劇の統一ルールを先生方と作りました。
 題して「コロナ時代の演劇」。前代未聞のルールだと思いますが、「役者同士がふれあわない」「役者はどんなときでも1m以上離れる」「役者は基本前を向いてしゃべる」「向き合ってしゃべるときには2m以上離れる」などの細かなルールです。

 さらにこのルールでもすぐれた芝居ができるのだというプロモーションビデオを、全県の顧問の先生方と力を合わせて作りました。シェイクスピアの「ハムレット」をこのルールで上演したのです。もちろん私も役者として登場。ノリノリです。(ハムレットの父親の亡霊として登場。下の写真を見ると、亡霊というより「相棒」に出てくる犯人のよう…。)
 地区大会、県大会(オンライン大会)すべてこのルールでやりました。

 今日、関東大会がオンラインで開催されたのですが、わが長野県代表の松本県ケ丘高校が最優秀賞、松本美須々ケ丘高校が優秀賞に輝きました。私たちの「コロナ時代の演劇」が高い評価を得たのです。何と嬉しいことでしょう。
 やった!
  


「コロナ感染対策をさらに進める」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年01月22日20:44
 長野県全体の感染状況は、依然として、厳しい状態がつづいています。
 木曽郡内はここのところ陽性患者の報告があまりなく、レベル3のままになっているのですが、それでも他地区の様子をみると、気を引き締めていかねばなりません。

 昼休みの始まりには、いつも保健委員会の生徒が、手洗いを徹底しようという呼びかけの放送を入れています。昼食時に向かい合って食べないこと、静かに食べることなども徹底しています。毎朝、検温をしてメール送信の形で全生徒から報告をしてもらっており、体調が心配な場合には、休むよう、みんなで気を付けています。
 進路指導室に来るお客様やセールスの方にも原則的には玄関にて用件を伺うのみにしています。
 その一方で、昨日の「探究のレッスン」のように、リモートでどんどん世界とつながっていこうというのが、今の本校の目標です。

 実は、先週、ひとつの教室を二つに区切る工事をおこない、万が一、学校で具合が悪くなった生徒を、必要性に応じて、温かな環境で隔離しつつ守るためのスペースを作りました。簡易防護服なども購入しています。
 念には念を入れて…を積み重ねていきたいと思っています。

  


「福島県とオンラインでむすんで探究学習をおこなう」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年01月21日20:00
 2年生は、3年次の「総合探究」の準備をはじめています。
 そのキックオフとして、今日は2時間連続の枠をつくり、認定NPO法人カタリバのシニアマネージャー・長谷川勇紀さんを講師に「探究のレッスン」という学びをおこないました。長谷川さんは、3・11からの復興を目指して新設された、福島県立ふたば未来学園高校の学校統括マネージャーをおつとめです。

 本当は来校していただく予定だったのですが、このコロナの状況ゆえ、急遽、福島と本校をオンラインでむすんでの開催となりました。とはいえ、一人一台端末ではないワークショップをオンラインで実施することは、かなり難しい。さらにはリモートが多くなっているからか、昼間の電波状況がかなり不安定です。

 しかし、オンラインの困難をものともせず、とても充実した、あっという間の2時間の素敵な学びとなりました。私には無理じゃないかなあという表情をしていた生徒たちが、どんどん探究のテーマ探しを始めていきます。
 ブレーンストーミングのときにどうしても書き出すことが苦手な生徒たちが、どんどんマインドマップを作っていく。自分にとって興味関心のあることは何なのか。そして他者が興味関心を持っていることから、自分が学びたいことは何か。さらには世の中のひとびとが、今、求めていることは何なのか。

 生徒の心に火を灯す…という言葉がありますが、長谷川さんの講義とファシリテーションを受けていると、自然と心に火が灯ってくるのです。さすが!
 そして本校の先生たちも担当の吉田先生を中心に、生徒のワークシートを撮影して福島に伝えたり、電波が不安定になれば機器をすぐにとりかえたり、いつものチームワークで困難点を着実に乗り越えていきます。授業が終わってみれば、長谷川さんやカタリバの皆さんの探究学習の進め方を見て、自分たちに足りなかったものをリフレクションして、どこをどうやれば蘇南高校がステップアップできるかを語り合います。
 生徒が探究するのと同じように、先生方も探究をしているのでした。
  


「茶道同好会の生徒たちからお茶をいただく」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年01月20日19:39
 先週、生徒たちにお茶会に招待してもらいました。
 本校の茶道同好会は1年生5名が、裏千家の小島先生からご指導をいただいて、活動をしています。コロナ禍のなかなので、新年のお茶会を実施することもなかなか困難です。そこでマスクをした教員がお茶をいただくときだけマスクを外すというやり方で、何とか生徒たちの努力の成果を発揮する機会を実現したというわけなのです。
 
 実は、その前の週、部員のひとりが校長室に「招待状」をもってきてくれました。これがとても手の込んでいる招待状で、お茶会のタイトルが「冬椿の茶会~天狼」とあります。冬椿や天狼(シリウス)を楽しみましょうというメッセージです。

 感染防止策のために換気をよくしてありますから、確かに部屋は寒い。でも椿とシリウスをイメージできる空間ができていて、椿を象った和菓子とお茶をとてもおいしくいただいたのでした。心まで凍り付くような冬だからこそ、椿の鮮やかな花びらや夜空のシリウスの輝きが「希望」のように心にしみいるのでしょう。

 様式化された動作の中に「自由な境地」があり、そこに「人の温もり」を感ずる、日本の伝統文化の奥深さを、生徒たちに教えてもらった素敵なひとときでした。
  


「三人の校長による対話記録がベネッセのホームページに紹介される」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年01月19日20:15
 昨年の暮れに、小村俊平さん主宰の「生徒の学びと気づきを最大化するプロジェクト」にて、「校長ラウンドテーブル」という企画がありました。
 北海道札幌北高校の林正憲校長先生、宮城県仙台第三高校の佐々木克敬先生と私の三人が、オンラインでつながった全国の先生方と2時間にわたって対話をしたのです。三人のそれぞれが、今、自分の高校がどのような方向に走ろうとしているかを簡単に報告し、その後、全国の先生方からの問題提起・質問に応答していきました。

 そのときの内容が、このほど、ベネッセ総合教育研究所のホームページに掲載されましたので、よろしければ、ご覧ください。
 お二人とはその後もときどきメールのやりとりをさせていただいており、私にとっても大切な学びと出会いの機会でした。
 
https://berd.benesse.jp/publicity/detail.php?id=5563&fbclid=IwAR3VTBDgybH7ojWCLyYuZTExDFBrpujnreVNnIzGM0gGUl-bk4XVp3hG_lE