「全国高体連が合同チームの全国大会参加を認めたことについて」

Posted by 蘇南高等学校長. 2023年01月31日19:50
 今日は、全国高体連から今後の全国大会において合同チームを積極的に受け入れていくという通知が来ました。少子化により募集定員が減っていくことで、チーム編成ができなくなる高校が増えているため、そうした学校同士の合同チームが大会に参加することを明確に認めた通知です。

 本校では、今年度、野球部と女子バスケットボール部が他校と合同チームを組んで大会に出場しました。
 合同チームとは、単なる寄り合い所帯でともかく大会に参加するというのではありません。新たにチームづくりをするわけですから、お互いの人間の幅を広げ、技術的にも向上します。私は合同チームの意義はとても大きいと見ています。これは合同チームを組む側になって、初めてわかったことでした。

 今回の全国高体連の通知は、あくまで単独ではチームを編成できない学校同士が連合を組めるというものです。強豪の学校が、他校の優秀な選手を受け入れて、さらにパワーアップすることを警戒してのことです。
 でも、私が会長をしている長野県高文連・演劇専門部では、制限なくいかなる学校の合同チーム結成もOKにしています。数年後には、部活動の地域移行が進み、大会参加の主体が学校だけではなくなることは目に見えています。合同が組める資格は何かなどという議論は、そもそも無用なことになっていくのではないでしょうか。

 とはいえ、今回の全国高体連の通知は、貴重な一歩だと思いました。演劇専門部も県大会までは合同チームが組めても、関東大会になると参加が許されなかったものですから、高文連の世界でも「ベルリンの壁」が壊れていくでしょう。
  


「白い雪、降る降るまわりに」

Posted by 蘇南高等学校長. 2023年01月30日16:29
 今日の南木曽町は一日中、雪が降り積もりました。
 私は教頭先生や事務長さん、校用技師さんと朝7時から通学路の雪かきをしました。水分を含んだ重い雪なので、かなり力を使いました。

 「ありがとうございます」と頭をさげて生徒たちが傍らを通り過ぎていきます。
 やがて出勤してきた先生方が、雪かきをもって応援に来てくれ、さらには先ほど挨拶をしてくれた生徒たちも手伝いに来てくれるのでした。

 週末の土曜日の降雪の時も、練習のために登校した女バレ・女バス・軽音楽などの生徒たちが雪かきをしてくれたそうです。
 みんなのために汗を流すことができる生徒たちであり、教員集団なのだと、改めて感じて幸せな思いがしました。

 ちなみにタイトルは、アイヌのユカㇻを日本語に訳した知里幸恵の『アイヌ神謡集』の有名な書き出し「銀の滴 降る降るまはりに」に因みました。(今、知里についての論文を書いています。)
  


「みんなの学校なのだという感慨」

Posted by 蘇南高等学校長. 2023年01月27日21:18
 今週は新聞報道されるような新しい試みや生徒の全国コンクールでの入賞などが目白押しでしたので、報告が遅れてしまいましたが、1月24日(火)に第2回学校評議員会を行いました。

 本校の学校評議員は、南木曽町教育長、南木曽中学校長、同窓会長、蘇南産業教育振興会長、南木曽商工会代表、PTA代表、中学校保護者代表の皆さんから構成されています。

 今回は、私や進路指導主事から「今年度の学校経営で力を入れたこと」「体系的なキャリア学習と探究学習の構築」といったテーマで報告をしました。
 そして、先日の総合探究発表会の様子を知っていただくために、「クマのハザードマップ」を作成した藤森さん・上野さん・原さんに探究成果の発表をしてもらいました。評議員の皆さんからは、「地域の人々の役に立つ画期的な研究であり、是非、町のあちこちにハザードマップを掲示してもらうとよい」などの温かな評価をいただきました。


 また、今、作成中の「蘇南高校グランドデザイン(改訂版)」や「スクールミッション・デザイン」について議論しました。
 「蘇南高校の教育を見ていると、核にあるのは『探究・気づき』だから、それをスクールミッションのまんなかに書いたらどうか」などのアドバイスをいただき、評議員の皆さんが本当によく蘇南高校のことを見てくださっていることを改めてひしひしと感じ、私は胸が熱くなりました。

 蘇南高校は、みんなの学校なのです。



  


「全国のお弁当コンクールで優秀賞に輝いた地産地消の作品を町長さんにお届けする」

Posted by 蘇南高等学校長. 2023年01月26日18:10
 3年生の石山さんと松瀬さんは、「南木曽恩送り」というテーマで、地域の特産物を使った栄養価の高い新メニューを開発しました。特に広瀬地区にあるレストラン萬屋さんの指導をいただきながら、イタドリ(南木曽ではイタンドリ)のギョウザとか、ミルフィーユなどを試作してきました。
 私もこれらのメニューを実際に味わい、とてもいい出来栄えであることに感心しました。イタドリの割合とか、とても細かく何種類も調理しては、最もいいレシピを探究してきたのです。

 12月になって、群馬県の中央農学校主催の「地産地消」をテーマにした第9回お弁当コンクールで、彼女たちのお弁当が「優秀賞」になったという通知が来ました。応募総数が400点を超えるなかから、実質4位に相当する「優秀賞」に高く評価されたのです。

 昨日、曲げわっぱ(木曽特産の木を曲げたお弁当箱)に入れたイタドリ弁当を、町長さんと教育長さんに届けて、受賞を報告しました。
 お二人からも味の質の高さをほめていただきました。


 地域の特産物を活用した新しいアイデアを高校生が試行錯誤しながら生み出し、それが地域の皆さんにどんどん使っていただければ、彼女たちが目指した「恩送り」になります。
 地域と高校の「共創」がさまざまな機会にできればいいと、生徒たちも願っています。



  


「恵那南高校さんの学習発表会にご招待いただきました」

Posted by 蘇南高等学校長. 2023年01月25日20:17
 今日は、岐阜県立恵那南高校さんの「第13回産社・総合学習発表会」にご招待いただき、恵那市明智町のかえでホールに行ってきました。
 地域と深く連携しながら多様な探究を進め、生徒のキャリア実現をはかっている総合学科の高校どうしとして、今年度から親しく交流をしているのです。


 一言で表現すれば、心躍る、あっという間の2時間でした。
 第1部は、恵那市内の公共施設のWCのバリアフリー状況をパンフにした取組。恵那川上屋さんとの6次産業学習、ドローンによるSDGsの推進を考えた学習、岩村女城主太鼓の郷土芸能など、地域と連携した魅力化プロジェクトの発表でした。
 とても印象に残った言葉がありました。現代人は「金だけ・今だけ・自分だけ」の風潮が強いのだけれども、地域の魅力的な人々と出会うなかで、そうではない生き方が大切なのだということに気づいたと、生徒さんが語っていました。
 私はこの言葉に深く心を動かされたのでした。そうだよ、これが探究だよね!・・・そう心の中で叫びました。

 第2部は、1・2年生のキャリア学習と、3年生の探究学習の発表でした。
 3年生の探究の成果は、とても多彩で面白かったです。ある生徒は、恵那市内の公共施設や大型店のフリーWifiのセキュリティ状況を採点していました。別の生徒は、語彙力をどうやったらつけられるかを探究するなかで、高校生の読書量と語彙力の相関関係を調査したら、予想に反して「関係なかった」という結論を出していました。(衝撃的な結論!)
 また、別の生徒は、地域内の経済循環を創出することが大切だという問題関心をもって、それを実現させている農場に取材をしていました。

 最後に高橋校長先生からご配慮をいただいて、私が講評をさせていただきました。

 本校になくて恵那南高校さんにあるものがたくさんあって、逆に本校のほうにあるものもあります。お互いに交流し合って、高め合っていける関係になれればいいと、心から願っています。

 明日は恵那南高校さんのオンライン発表会に、本校の1・2年生全員が参加します。





  


「Zenagiさんと懇談してこれからの教育について考える」

Posted by 蘇南高等学校長. 2023年01月24日17:47
 昨日、南木曽町の田立地区にあるホテル、Zenagi(ゼナギ)さんからお声がけをいただき、懇談をさせていただきました。
 古民家を修復したラグジュアリーな1日1組限定のホテルなので、前を何度も通りながらも、一生のうちで門をくぐることはないのだろうと漠然と考えていました。

 緊張しながら玄関を入ると、「おおっ!」、日本の伝統建築と調度品の美しさに、思わず声をあげてしまいました。竹細工やガラス工芸の灯りに枯山水の庭、巨木の梁が縦横に走る天井、すべてが圧巻でした。
 取締役の安藤さん(元オリンピック選手)とButlerのフェレールさん(アンドラ出身)から、この空間に存在するものたちのストーリーを聞きながら、宿泊客になったような気分を味わいました。

 大切なものは目には見えない・・・とは星の王子様のことばですが、今まで私たちがその脇を素通りしてきたものに、実はとても大きな価値があるということにZenagiの皆さんは気づいていて、それを新しい形のビジネスに昇華しているのでした。

 安藤さん、フェレールさんから、蘇南高校の教育のためにいくつものご提案をいただきました。これらが一つ一つ実現していけば、「丘の上から世界につながる高校」という目標が、さらに具現化されていくに違いありません。
 この新しい出会いに大きなワクワク感を抱きながら、Zenagiさんからの帰路につきました。

 「モノの生産から価値の生産へと視点・発想を切り替え、足下に眠っている潜在性の塊を、資源としていかに運用していくか」という原研吾『低空飛行』(岩波書店)の問題提起は、これからの世界を考えていくうえで、とても大切な視点だろうと、改めて思ったのでした。


  


「ジェンダー平等を目指す制服改革を発表しました」

Posted by 蘇南高等学校長. 2023年01月23日18:29
 今朝のホームルームで蘇南高校の校則を改革することを発表しました。
 私たちは、3年生の総合探究でジェンダーをテーマにした皆さんと、「虹」をスローガンにかかげて多様な生徒の共生を目指す生徒会執行部と話し合いを重ねました。そして生徒・教員の共同作業で作った原案を全校投票にかけ、その結果をもとに制服改革を決めました。

 原則は、ジェンダーレスではなく、「ジェンダー平等」です。
 Aタイプ(男性体形)、Bタイプ(女性体形)、Cタイプ(中間形)のブレザーとスラックス、スカート、ネクタイ、リボンを各自が自由にくみあわせて着用することにしました。Cタイプはボタンの位置が違っているため、Cタイプを選択する理由は、LGBTQの理由だけではなく、ファッションの好みなど多様であってよいことになります。
 もちろん身体が男性の生徒が、Bタイプとスカートで登校してもよいのです。

 中間形に統一する「ジェンダーレス化」についても考えたのですが、「差別をなくそうとしているのに画一化になってしまうのでは?」「現在の男子らしさ、女子らしさを支持している人の好みも尊重されるべき」などの意見が出され、統一化ではなく、選択肢を拡大する方向で校則を改正することにしました。

 あわせてオールジェンダーWC、オールジェンダー更衣室を設けることとしました。

 今から四半世紀前、本校は制服廃止を試みましたが、生徒からの反対が多数となり、多くの研究を重ねて現在の制服を定めました。その時以来の制服改革です。
 
 高校時代に自分たちの学校を自分たちの議論でつくる経験をして、世界の人々の「平等」につなげていってほしいと、私は生徒たちに期待しています。



  


「共通テストの結果を受けて出願検討会を行いました」

Posted by 蘇南高等学校長. 2023年01月20日17:07
 今日は、先日の大学入学共通テストの自己採点結果が出たのをもとに、受験した生徒たちの今後の受験計画をたてる出願検討会を行いました。

 事前に担任が生徒と一定の打ち合わせをして作ったひとりひとりの受験計画について、①やってみたいことと照らし合わせて他にも勧めてみる大学があるか、②各教科の学習方法はどのようにすればよいか、③私立・国公立の受験日のバランスは適切か・・・などを丁寧に検討しました。
 これをもとに改めて担任が生徒と懇談をして、今後のことを決めていく予定です。

 大学受験者の多い高校ならば当たり前のように行ってきた検討会ですが、進路多様校だと担任まかせになっているところもあります。
 本校では、丁寧に進学指導をしようという方針をたて、年数回の進路検討会や出願検討会を行っています。

 受験する生徒たちは、これから全国をかけめぐることになります。
 「桜咲く日」が全員に来るよう、全力で支えていく覚悟です。
  


「朝日新聞教育欄のインタビューで共通テストの試作問題を批評しました」

Posted by 蘇南高等学校長. 2023年01月19日07:49
 今朝の朝日新聞の教育欄で、秋田茂先生(大阪大学)と私が大学入学共通テストの試作問題について論評をしました。秋田先生とは過去に学習指導要領のお仕事をご一緒させていただきました。私たちは別々に大内記者のインタビューを受けたのですが、予想通り基本線は同じ考えになりました。

 試作問題は思考力を問う良問もあるけれども、課題も多く、一層の改善の努力が必要ではないかという問題提起をさせていただきました。

 特に言語能力を重視するとか、主体的・対話的で深い学びの学習プロセスを踏まえるという理念のもとに、設問を解くことと直接関係しない言語情報が氾濫して、熟読するよりもさっと読むことのほうばかりが役に立つようになっているのは、問題だと思うのです。
 「歴史総合」が歴史の大きな変化(流れ)を学ぶはずなのに、枝葉末節な知識を問うことになりかねないことも心配です。

 もちろん問題作成者の方々の多大な努力とご苦労に敬意を表しつつ、懸命に学んでいる高校生のために、よりより入試問題とは何かについて、さらに考えていくことが必要だと考えています。

  


「茶道部の初釜で一期一会を心に抱く」

Posted by 蘇南高等学校長. 2023年01月18日16:46
 昨日の放課後、本校の和室で茶道部の初釜「冬茜」が開催され、私も出席しました。
 外部講師の小島先生と顧問の洞澤先生のもと、お稽古に励んでいる2年生の小椋さん、亀山さんからお茶をいただきました。

 正客として座り、まずは掛け物や花入れを説明していただきながら、楽しみます。開き始めの椿の美しさに心洗われます。
 次いで、とても上品なお菓子を味わい、小椋さんから詳しく作法を教えてもらいながら、亀山さんが入れてくれた濃いお抹茶をいただきました。
 至福のひとときです。

  「一期一会」という言葉が千利休によるものだと言われていますが、まさにこの言葉の如く、今日このときに茶道部の皆さんのお茶をいただけて、一生の思い出になると、私は感動をかみしめました。

 むだなものを一旦しまいこみ、静かにお茶をいただくひとときが、「一生に一度の出会いであるかのように、いまこのときを大切にしよう」という原点を思い出させてくれるのでした。